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<今号のメルマガ本論抜粋>
■災害だらけの土地に安全な国を築いた先人には感謝するが
日本は残念ながら災害大国です。プレートが重なり合うポイント上に国土があります。地震大国です。
また四季が織りなす風土は大変美しい国柄を構成しますが、雨季もあれば台風も直撃します。豪雪地帯もあります。
これだけ激しい雨が降るにもかかわらず、国土は狭小で山の傾斜はきつい。そして川幅は狭く短い。このような川の下流にある猫の額のような平地部に人口が密集している。ちょっと雨が激しく降れば川は溢れ土砂が崩れ人口密集地を襲います。
さらに活火山も存在する。
少し時を遡っただけでも、災害の連続であることに驚かされます。
こんな日本にありながら、我々はなんとか今に至るまで、世界で有数の、安全で安心で美しく、そして豊かな国家を持続させています。
これはほんと凄いことですよ。普通なら豊かになることなんてあり得ません。自然環境が厳しい地域の国は、経済的に豊かになることはなかなか難しく、同時に紛争が絶えない。
にもかかわらず、よくこんな素晴らしい日本という国を我々に与えてくれましたと、先輩、先祖の皆さんには感謝感謝ですね。
特に明治以後の近代国家日本の形成から現在に至るまでは、自然に対して立ち向かい、技術と土木整備によって災害を抑え込むことが災害対策の基本でした。
地震については耐震基準と防火基準を整備し、いまではかなり大きな地震によっても建物が崩れなくなっています。地震によって火災が起きたとしても延焼を食い止めます。
土砂災害に対しては砂防ダムをはじめ、危険個所はコンクリートで固めていく。川の堤防を整備し、上流域にはダムを作る。
このような対策を進めることによって、日本は災害大国であっても豊かな国を作ることに成功してきました。
■どれだけ対策しても自然の力に完全に勝つことはできない
他方、国家が成熟し、国民の知的・生活レベルが上がれば上がるほど、さらなる安全・安心を求めるようになります。
当たり前のように、一人の命も奪われないような対策を講じることを国民は求めるようになります。いわゆる「ゼロリスク」を求めていくようになる。
こうなるとコストとの折り合いをつける必要が出てきます。そのような対策にどこまでお金を投じることができるのか。
これがまさに「政治」というものですね。
しかしどれだけお金をかけて災害対策を講じても、自然の力に完全に勝つことなどできません。必ず災害が起きて、人命が失われる。そしてさらにお金を投じて対策を講じる。
この繰り返しとなります。
僕は、今、このような災害対策の方針が限界に到達しつつあると思います。
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<本論内容一覧>
■橋下徹の「問題解決の授業」特別編集版
▼「目の前で起きている」災害を報じた日曜報道THE PRIME
▼「土石流危険渓流」の図の通りに流れ下った土石流
▼熱海市の警戒情報発信は遅かったのか?
■橋下徹に聞きたい!「問題解決の授業」実践編
▼現役の政治家にはズバリと指摘しにくいポイント
■橋下徹「これまでの災害対策を変える時代がやってきた」■
▼災害大国に安全な国を築いた近代日本の災害対策
▼限界に達しつつある「ゼロリスク」を求める政策
▼ダムよりも本質的な治水対策・川幅拡張を推進した大阪府知事時代
▼大阪で大激論の末に川幅拡張を実現したことはよかったが
▼少子高齢社会を迎えるこれからは、「逃げる」対策から「住まない」対策へ
▼「大災害が発生した土地には住むことを禁止する」という解決策
<その他コーナー(秘書・編集部執筆のコーナーです)>
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■編集後記
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2021年6月29日、「実行力」「交渉力」に続く、橋下徹の「力」シリーズ第三弾、
「決断力 誰もが納得する結論の導き方 (PHP新書) 」が発売されます!
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