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<今号のメルマガ本論抜粋>
■野党よ、与野党協議で特措法の「あるべき姿」を追求せよ
コロナ対応に必要不可欠な新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)の改正論議が、やっと国会で始まった。
僕は昨年の3月くらいからこの特措法のクソっぷりを、このメルマガやテレビなどのメディアで言い続けてきたが、一民間人コメンテーターの意見なんぞ何の力もない。政府与党をはじめ日本の政治は特措法の改正をずっと放置し続けてきた。
そんな中昨年末頃からやっと特措法改正論議が湧き起こり、年明け1カ月ちょっとで改正法が成立しそうな勢いだ。
それならなぜ、昨年の5月、6月、7月頃、一度目の緊急事態宣言の後に感染者数が比較的落ち着いた頃に、特措法改正を実行しなかったのか。この政治の怠慢は、強く非難を受けてしかるべきだ。
それは横に置いておいても、今回出てきたこの特措法改正案だが、これまたそのクソっぷりが甚だしい。
前号のメルマガ(Vol.232【権力行使の大前提(1)】なぜ僕は「罰としての店名公表」に断固反対するか)では、罰則規定に関する議論が優先され、営業の自由を制限したことへの補償額・支援額の算定基準があいまいな点を一番問題視した。
法案には、「支援を講じる」としか書かれていない。どのようなお店に、どのような金額が出されるのか、全く分からない。つまり、すべては「お上」にお任せするというクソっぷりな法案だ。
そして今国会では、与野党で「罰則の重さ」について協議に入っている。
政府与党が出してきた法案が、初めから与野党協議となるのは珍しいことだが(普通は政府与党の出した法案は、賛成多数で可決されるか、世間や野党の批判が激しい場合には取り下げられる)、これは法案を通すための政府与党のテクニックだ。
野党の意見を取り入れて修正すれば、野党に花を持たせることができる。そして政府与党は、国民から批判の声が大きい罰則規定について、自分たちの意見を押し通したのではなく、野党の意見も聞きましたよ、という言い訳ができる。
他方、野党にしてみれば、法案修正は一般的になかなか出すことのできない成果である。ゆえに罰則の修正に飛びつく可能性があるのだが、ここは自分たちの成果にこだわらず、特措法の「あるべき姿」を追求してもらいたい。
■現在の支援金はお上からの「施し」である
前号でも論じたが、ここでの罰則とは、補償額・支援額を導き出すための方便だ。
営業の自由の制限(休業・時短)を「お上」がお店にお願い・要請をする現行の特措法では、そのお願い・要請に従うか否かはお店の自由だというのが建前となっている。そもそもこの建前がおかしい。お上からのお願い・要請には従わざるを得ないのが現実なんだから。
それでもこの建前があることで、自分の意思でお店を休んだり、時短営業をしたりしても、「お上」からは補償や支援は出ない。これが現行の特措法の考え、ロジックだ。
ゆえに今、政治行政が出している支援金は、あくまでも「お上」からの「施し」に過ぎない。法に基づいたお店の権利に応えたものとはなっていないのだ。
だから金額もいい加減だし、どの業種に出すのかもすべて「お上」の胸三寸となっている。お店からすればたまったものじゃないよね。
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<上記本論につづく内容一覧>
■国は納税時の所得情報を活用して補償金・支援金の算定を
■このままでは憲法29条違反になりかねない!?
■個人で賠償責任を負う知事・市長と国会議員のリスクの差
■感染症法改正案「入院、行動履歴開示」強制の根本的な問題点
■各種「強制」は平時を含む感染症法ではなく有事の特措法で対応すべき
<その他コーナー(秘書執筆のコーナーです)>
■今週の質問タイム
〔質問〕
司法試験の勉強をこれから始める大学生です。範囲が広すぎて何から手を付けたらいいか途方に暮れています。橋下さんのように、関心を持った分野の法律から勉強していくのが効率的なのでしょうか。コツがあれば教えていただきたいです。
〔橋下徹〕
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